「新宿で保護された少年、身元不明のまま1年 情報なく」
東京都新宿区内で、身元不明の少年が保護された。現在、都内の児童福祉施設に保護されているが、言葉を全く話せず、身元の特定につながるような有力な情報は寄せられていない。30日で1年になる。
少年が保護されたのは、02年12月30日午後8時ごろ。JR新宿駅南口近くの路上だった。1人でいる姿を通行人が不安に思って、警察に届けた。
身長147センチ、体重は37キロ。防寒着はなく、シャツにベスト、ジーンズという軽装だった。
推定年齢10〜13歳。重い知的障害があるため、言葉が話せない。身元がわかるようなものや現金などは、一切持っていなかった。
警察から依頼を受けた都児童相談センターでは、少年の身元を捜し当てようと、全国の警察や近県の児童相談所へ照会。少年の写真を載せ、特徴を書いたチラシも都内を中心に配布したが、それでも情報はほとんど集まらなかった。
韓国語、中国語などの通訳ボランティアに依頼して少年に話しかけたり、歌のテープを聴かせたりもしたが、反応はない。国籍さえもわからないままだ。
保護された当時、服装も汚れておらず、疲労や空腹の様子はあまりみられなかったといい、「それほど遠くから来た、という風には思えないのですが……」と関係者。
当初は、慣れない環境に不安定な様子だったが、最近ではようやく、学校や施設での生活になじんできた。時折、職員に甘えてみたり、周囲の人とジェスチャーでコミュニケーションを取ったりすることもある。
同センターでは「今後は、少年がいかに安定した生活を送れるか。その支援に力点を置くべき時期にきている」と話している。
(12/29 16:53 asahi netニュースより全文抜粋)