「世界一団の博物館」という作品。わりと気に入ってる。
劇団時代からの知り合い。俳優。趣味はプロレス鑑賞。
容貌は恐竜の子供みたいなのに、そこそこモテる。
貝塚市のキャッチフレーズは「元気あふれる みんなの町 貝塚」である
岸和田だけがだんじりじゃない!そーりゃ!そーりゃ!
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オブジェ
1−2 「百年後の博物館」というタイトルで小説を書くことになった。

「百年後の博物館」というタイトルで小説を書くことになった。来るものは拒まず、サルは追わず。来る仕事は引き受ける。逃げるサルは追ってはいけない。
以前、博物館を題材にした戯曲を書いたことがある。博物館特有の、ひんやりとしたあの空間を舞台で作ってみたいと思った。誰かが言った。博物館にあるものはすべて遺品なんです。なるほどそこは納骨堂と同じ冷気なのかもしれない。
電話が鳴った。井田武志だった。「来週空いてますか?沖縄に一緒に行きませんか?ラフテー一緒に食べませんか?」
食べてー、が僕にはそんな時間はない。「締め切りに追われてるんだー」と言った。
「締め切りってなんですか?追われるんですか?サルみたいなもんですか?」と聞いてきた。井田武志とこういう話になると長くなるのは目に見えていたので、ごめんと言ってすばやく切った。受話器の向こうでは「サーアンダギー!」と叫ぶ声が一瞬聞こえた。
さて、小説を書こう。百年後の博物館。
5時間の沈黙。耐えられず息を吐く。だめだ、何も思いつかにゃい。
何も思いつかにゃいので実地調査でもしようと博物館に行くことにした。タウンページで「博物館」を探す。ページを開き最初に目に飛び込んだ施設に行くことにする。僕の本名は木下マサヒロというのだけど、嘘か本当か、父親の木下アキラは僕の名前を「命名辞典」を適当にめくって決めたらしい。というわけで僕もたびたびアキラ方式を使う。128ページを、ぺらり、とめくり、人差し指をさす。

そこには「貝塚市立自然遊学館」。

完全にハズレだ。自分に嘘をついてやり直す。誰も見ていないし。もう一度。パッとめくる。目に飛び込んできたのは「コンペイトウプチミュージアム」。
なかったことにする。次こそは。「大阪城天守閣」。・・・。キ・リ・ガ・ナ・イ。仕方なし、貝塚のどうでもいい博物館で手を打つ。
知らない人に説明すると貝塚市は、大阪府の南東に位置し、泉州地域に属する。特産品はだんじりと、たこぼうずもなか。大阪市内の僕の家からは電車を2回乗り継いで、ベートーベンの交響曲5番と7番をフルに聴くくらいかかる。切符は1570円。車窓の景観はアダージョのテンポで(ゆっくりと)ビル群から田園風景に変化する。iPodにいれた「運命」ではなく「おぎやはぎのpodcast」を聞きながら、貝塚市立自然遊学館について思いを馳せた。縄文人の食べ残した貝殻ばっかりだったらどうしよう。


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