最後にフリーライターのコーコさんに連絡した。
コーコさんは、中学生時代に筋肉少女帯とかガロにハマって、そのあと一通り「路上」やバロウズにいき、ビートニクからニューエイジを経由して、結局今はスピリチュアル系・宗教関係のゴーストライターをしているという変わった人。某宗教団体のベストセラー啓蒙書にも手を貸している。
「ミイラ取りがミイラになったというよりは、ミイラになりたくてミイラ取りを始めた」のだそうだ。今はマクロビオティックに挑戦している。なんのことかはよくわからん。
なので宗教に関して知りたいことがあれば僕はコーコさんに聞きにいくことにしいてるのだけども、「体外受精のメスシリンダーとはより戻した?」と第一声。
Mのことを知っている数少ない人間のひとりだ。「いやそれはないっすね」と答える。
「弥勒の会って知ってる?」と単刀直入に聞いてみた。
「知ってるわよ。なに?」
「僕のちょっとした知り合いが、そこに入ってるんだ。」
「新興宗教のひとつよ。なに、脱会させたいの」
「そういうわけじゃなくて、どういうところなのかなって」
「仏教系で、わりと真面目にお祈りしたり、説法したりって、団体の代表が昔、お坊さんだったらしいから。あくどい噂は聞かないね。こじんまりとやってる印象よ。水売ったりもしてないし。ただ」
「ただ」
「唯一変わってるのはね、ミイラ崇拝をしてるの」
「ミイラって、あのミイラ」
「あのミイラ以外、どのミイラがあるの?」
「ミイラを祀ってるってこと?」
「そう。たとえば奥さんが死ぬとしたら、それをミイラにしろって言うの。詳しく調べようか」
「う、うん」
吉沢さんが弟のミイラを部屋に飾ってる様子を想像し、頭を振った。コーコさんはメールをくれると約束し、僕たちは別れた。