この映画を見るたびに、都会ってのはロクな場所じゃないんだなあと思う。
indexロゴ百年後の博物館ロゴ
小説版「百年後の博物館」ロゴ


疑念、エドモント・テーラーは実在するのかしないのか。もしも架空の人物ならば、飛躍かもしれないが、吉沢さん自体も存在しないのかもしれない。もちろん幽霊に会ったわけではない。どこかの誰かが僕をからかったか、もしくは、結果としてからかうことになったのか。
ネットで「エドモント・テーラー」を調べると、見事なまでにそんな人物のことは出てこない。もちろん、ネットは万能ではない。明日、図書館に行くことにしよう。代わりに、貝塚市について調べてみる。
確かに貝塚市には貝塚はひとつもないそうだ。ではなぜ、貝塚なのか? もともと「海塚」と呼ばれていたからという説が有力らしいが、それも怪しいそうだ。なんともスッキリしない。
姉妹都市はカルバーシティ。
僕はこの「姉妹都市」という無自覚で無根拠な制度(システム)が昔から割と好きだ。なんちゅうか、深い意味がそこに感じられないのがいい。なんとなく姉妹になりました、というほのかに漂う適当さ。世の中はそんなもんなんだ、という姿勢。好きだ。
ちなみに、仙台市の姉妹都市はアカプルコで、高槻市はマニラ。東京都中野区と福島県田村市というなにか隠された因縁を感じる国内姉妹都市もある。
貝塚の姉妹、姉なのか妹なのかはわからない、カルバーシティについて調べる。こういう種類の芋づる的リサーチにネットは向いている。


そういえばエドモントの出身はロスアンゼルス郊外だった。ただの偶然だろうか。

他には映画産業が盛んで、ソニー・ピクチャーズのスタジオもある。「キングコング」のマンハッタンのシーンもここで撮影されたそうだ。

どれだけ調べてもエドモント・テーラーのことは出てこない。ましてや吉沢さんの弟の失踪事件に関する手がかりなどその欠片も見つからない。
当たり前と言えば当たり前だ。僕は探偵でもないし、行方不明者専門の超能力者でもない。これは僕がこれ以上首を突っ込むことではない。妄想するだけならタダだが、妄想に引っ張り回される生活はろくなもんじゃない。僕にはもっと現実的なこと、水道料金や体脂肪率や締め切りや、頭を悩ませなければいけないことがたくさんある。これ以上この事件にかかずらってる場合ではない。
というわけで僕は忘れることにした。今までの人生で何度も繰り返してきたお馴染みの選択肢。このおかげで僕の人生は業務用冷蔵庫なみに堅固で頑丈なものになった。同時に味も素っ気もない、精彩に欠けたものにもなったのだけど、それが業務用冷蔵庫の生き方だし、だれでもない自分が決めたことなのだから文句は言えない。


←前のページへ │ ↑このページのTOPへ │ 次のページへ→
indexロゴ百年後の博物館ロゴ