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小説版「百年後の博物館」ロゴ


黒田 百年後の博物館が、いきなりタイムスリップして現代のHEP HALLのところにぼこっと落ちてくる、ただ百年後やからそのままじゃなくてちょっとずれて、何年後かにHEPがなくなってたとして、博物館があるなり、たとえば地球は自転するから、ぜんぜん違う場所がたまたまその時間にあそこに来てた、とするとぴったり収まる訳がないので、HEP HALLからちょっとはみだしてるとかね。そういうちょっとずれた感じで落ちてきた、しかも全部じゃなくて部分的に。半分くらいはまだ時空の向こう側にあるとかね。そんな作りにできたら面白いなと思って。僕のオブジェのイメージとして、朽ち果てた未来の記憶、みたいなのがテーマとしてあるので、壊れていくんだけどプラス過去の記憶ではなくて、壊れた後の未来からやってきた記憶で、でもなんか見た事あるみたいな。そういう二重構造が面白いなと思ったから、それで百年後の博物館。あと2000年後やったら長すぎる?とか100年やったら近すぎへん?という話もでてきて、1999年後の博物館とかってどう?って言ったらわかりにくい、って言われて(笑)。
星川 いやいや(笑)。想像できそうなところがいいんですよ100年後は。
ウォーリー 確かにね。
黒田 (ホールスタッフの)麻田さんにそう言われて女性の意見なのかなと思ったんやけど、100年後やったら生きてないやろうけど、もしかしてこれから医学とかが発達したら生きてるかもしれへんぎりぎりやと思う、って。見に来る人たちが。そのぎりぎり感がいいんちゃうかなって。2000年後やったら絶対生きてないし、って。
ウォーリー まあ、好き勝手な感じになっちゃいますもんね。
星川 自分が繋がってない感じがしますよね。
黒田 僕は遥か未来とか遥か過去が好きなもので(笑)。
星川 ああ(笑)。本当はそんな朽ち果てた博物館になってるんやったら何百年後かでしょうけどね。
黒田 普通にいくとね。
星川 100年後やったらよっぽどなんかあと何年後かですごいことが起こらないと。
ウォーリー 核戦争とかね。
星川 廃墟にならないとムリですよね。
黒田 そうそう。僕が思ったのは、近代的なかっこいい博物館が100年後に朽ち果ててるんじゃなくて、廃校になった小学校とかを買いとってつくった私設博物館が、100年後誰も見に来なくなって忘れ去られてる、という感じ。もっと前のものが、今を経過して100年後というほうがいいかなっていうイメージはあった。
ウォーリー はいはい。僕も100年後の博物館って聞いて具体的な100年後、2107年のことを浮かぶっていう回路にはならないですよね。
星川 そうですね。
黒田 僕もならない。だから未来のっていう代わりの100年後。昔の大金の単位が100万円みたいな(笑)。いっぱいっていう意味の100やと思うねん。
星川 そうですね、それが黒田さんの中では1000年なんですよ。単位的には。
ウォーリー 僕も(笑)。なんとなく、未来って1000年後なんだなって今思った(笑)。でも同じなんですよね、イメージしている内容は。
黒田 たぶんね、7歳か8歳くらいの子に聞いたら100年後で十分やと思うねん。僕らは何十年も生きてるから100年後っていったら近い感じするし、それで1000年後のイメージなんかもしれへんけど。
星川 たぶんね1000年後っていうのは男の子的発想な気がします。
黒田 ああ、なるほどね。
ウォーリー ああ。1000年後って言われてもノスタルジックさは生まれないですね、その響きに。
星川 でしょう。ほんとに純SFって感じですやん。
黒田 それは確かに。ちょっと見えなさすぎる。
ウォーリー 人間でないものが居そうですもんね。

黒田 ウォーリー的には、100年後っていうのは未来というだけで具体的に100年じゃなかったわけでしょ。
ウォーリー そうですね、「百年後の博物館」っていうタイトルで物語を書くときに、あんまり100年後の話は書かないでおこうってあったんですよ俺の中で。第5話くらいで100年後になってもいいかな、ぐらいはあったんですけど、スタートは今だなって思ったんですよ。
星川 はいはい。
ウォーリー 日本じゃなくていいんですけど、今のどこかの国のほうがいいだろうなと思ったのは、さっき言ったみたいに結局100年後って言ってるのは今の自分たちで、そのつながり感を出したいなと。つまり100年前に繋がっているんですけど、そういう連続してる時間の中でのお話みたいなのが面白いなってインスピレーションは湧きましたね。それと僕はこの黒田さんのテキストの、ノイズとか不純物の下りがまだ解釈できてないんですけど、これが翻って「百年後の博物館」の話になるのが面白いだろうなっていうのをなんとなく直感的に思ったんですよ。ストレートに100年後の博物館の話にするよりも、不純物の話をして100年後の博物館にもっていければ、当日個展を見に来た人にも伝わりやすいものができるのかなと思ったんですよ。

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