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密会

阪本知プロデュース公演#2

大竹野正典没後10年記念企画公演
「密会-Rebuild-」

弱者への愛には
いつも殺意がこめられている

安部公房の小説「密会」を土台に、深川通り魔殺人事件を題材にして1993年に犬の事ム所、2004年にくじら企画で上演された大竹野正典の「密会」を、阪本知が再構築して上演します。

「密会」は、2004年にウィングフィールドで上演された、くじら企画の第10回公演である。
元々は安部公房の小説「密会」を土台に、深川通り魔殺人事件を題材にした作品であり、くじら企画の前身である犬の事ム所の作品として1993年に上演された。
くじら企画バージョンの密会は、そこから安部公房の要素を殆ど取り去り、舞台装置も演出も削ぎ落とし、犯人である川俣軍司と、「電波」で繋がれた、現実では繋がれなかった他人達が正気と狂気を織り成していく。今回、この作品を演出するにあたって考えているのは、「削ぎ落とされたもの達」の再構築である。
大竹野正典氏がくじら企画の密会を創り上げていく過程で不必要と判断したもの、切り落としていったパーツに再度焦点を当て、もう一度「密会」の中へ織り込んでいく。
それはただ単に、旧密会や安部公房の小説のシーンを挿入するという事ではなく、主人公と電波で繋がった他人達の外側にいる、求めても手に入らなかった「理想の他人に定義された自分自身」を、音楽や身体表現、衣装やメイクといった形で密会の世界の一番外側に装飾する事により、より核となる部分のテーマが見えてくるのではないか、という実験である。
インターネット、SNS全盛期の現代において、「電波で繋がった頭の中の他人」は作品が創られた当時よりも遥かに人々の中に蔓延し、その挙動に一喜一憂しながら生きている。
孤独も、拒否も、拒絶も、閉塞も、自分だけでは成り立たない。
他人と自分の間に全て存在するものである。
主人公の視野の範囲だけではなく、その外側も含めて一つの物語へ再構築(Rebuild)していけたらと思う。

阪本知

日時
2019年5月17日(金)〜19日(日)

5.17(金)19:00【A】
5.18(土)13:00【B】 / 17:00【A】 / 20:00【B】
5.19(日)13:00【A】 / 17:00【B】
※【A】【B】一部ダブルキャスト
※受付開始は45分前、開場は30分前より
料金
前売4,000円 当日4,500円
[整理番号付き自由席]
キャスト・スタッフ
作/大竹野正典
構成、演出/阪本知
音楽/紅蝉ノ音鬼ノ某某
【A】出演/GAB るりこ むらたまみ 木本実玖 福本隼也 SARUTOBI FLEX ハヤトミルクティーパーティー 長畑勝己 みかど 小島千明 久米りか YUfKO 赤莉かえ 近藤珠理 高岡杏樹 安藤瑠唯
【B】出演/GAB 百合馨 たかはしまこ 華 福本隼也 SARUTOBI FLEX ハヤトミルクティーパーティー 長畑勝己 みかど 小島千明 久米りか YUfKO 赤莉かえ 近藤珠理 高岡杏樹 安藤瑠唯
プロフィール

阪本知
2007年頃に音響スタッフとして演劇の世界で活動を開始し、アングラ演劇やパフォーミングアーツの素晴らしさに目覚める。
同時期にヴィジュアル系バンド「紅蝉」を結成。3年弱の活動の後、1度解散。2012年に復活し、全国展開でのライブ、リリース等を行う。アングラ演劇の手法を取り入れた楽曲やステージでコアなファンを獲得しつつも、2017年に再度解散。
紅蝉の解散を期に、本格的に演劇の世界で活動すべく準備を開始。2018年5月、北加賀屋のカナリヤ条約にて初のプロデュース公演「舞台版ドグラ・マグラ」を上演。総合プロデューサー、音響、作曲ユニット「紅蝉ノ音鬼ノ某某」として劇伴の作曲を担当し、全公演をソールドアウトさせる。
今作「密会-Rebuild-」は阪本知プロデュース公演の第2回にして、初の演出作品である。大竹野正典氏の子息である春生氏とは高校時代の同級生であり、誘われて観に行ったくじら企画の「夜、ナク、鳥」そして「密会」が、関西の演劇を知るきっかけとなった。